東京のどこに住むのが安心か 山崎隆

賃料の高い立地は稼げる人間の好むところであり、物件は収益還元法で考え限定価格で買ってはいけないと、かねてより主張している山崎隆氏の、大震災後改訂版。

 

価格と賃料から見たお買い得な町

価格と賃料で4象限に分けると、A「価格、賃料とも高い」(広尾、赤坂、六本木)、B「価格が高くて賃料が安い」(二子玉川、浜田山、吉祥寺)、C「価格は安いが賃料が高い」(池袋、日本橋人形町)、D「価格、賃料とも安い」(立川、八王子、上石神井)となる。Cは下町や湾岸エリアが含まれ、地震や水害に要注意である。

中古価格2000万、賃料10万から中古価格10000万、賃料40万のスケールでプロットされているが、収益還元という点では中古価格=賃料×200の線で分けるべきと思う。そうすると割安なのが賃料の高い順に、8000万-賃料40万のラインでは代々木・新宿、池袋、大塚・巣鴨、浅草、蒲田、錦糸町・両国、押上、北千住、町屋、八王子となる。9000万-賃料40万のラインの下方にあるのは原宿・表参道、恵比寿、赤坂・六本木、自由が丘、目白、都立大学日本橋人形町、市ヶ谷となる。傾向が見えてこないだろうか。

 

では、郊外や地方都市にある実家の近くに住みたいという人は、どう考えればいいだろうか。親が近くにいることが便利なのは子供が小さい時だけなのだから、必要な時期だけ賃貸に住むのはどうだろうか。あとは親の介護が必要になった時も近くが便利なこともある。いずれにしてもそれほど長い期間ではない。

 合理的な結論だが、意外と盲点になりがちと思う。限定価格での購入を避けつつ、地縁・血縁による便益を得るための工夫を模索していくべきだろう。